サプライチェーンにおける人権の尊重

基本的な考え方

日揮グループは、「国際人権章典」、国際労働機関(ILO)の「労働における基本的原則及び権利に関するILO宣言」等の国際的に認められた人権原則に基づき、当社グループの事業活動において影響を受けるすべての人々の人権を尊重することが、ビジネスの基盤であると認識しています。「日揮グループ行動規範」、「日揮グループ人権基本方針」をもって、グループ会社役員、社員だけでなく、サプライチェーンにおけるすべてのステークホルダーに対しても人権尊重を要求しています。(人権基本方針参照)

人権尊重の推進体制

当社グループでは、日揮ホールディングス取締役会長CEOが議長を務めるサステナビリティ委員会のもとに、人権対応分科会を設置し、人権尊重の推進体制を構築しています。
人権尊重の取り組みをグループ全体で統一的に進めるため、人権対応分科会には、主要なグループ会社の幹部社員が参加しており、人事部門が主導するI&D分科会とも連携して、人権尊重を企業風土に浸透させることを目指しています。(サステナビリティ・マネジメント参照)

  • I&D:インクルージョン&ダイバーシティ

人権デューデリジェンス

現在、総合エンジニアリング事業において、国連の「ビジネスと人権に関する指導原則」に則り、当社グループ社員をはじめ、協力会社で働く労働者、サプライヤー、事業パートナーや顧客など、すべてのステークホルダーを対象に、事業活動を通じてどのような人権課題があるかを整理し、それらを発生可能性や深刻度などで評価したうえで優先すべきリスク課題を選別する、人権リスク評価を実施しています。

人権デューデリジェンスのステップ

人権リスクマップを作成し、課題を特定

2022年度において、国内外のEPC事業を対象に、サプライチェーンにおけるすべてのステークホルダーを洗い出してデスクトップ・リサーチを実施し、当社グループの事業において生じ得る人権課題を特定しました。また、検知した各課題を深刻度・発生可能性の観点から分類し、人権リスクマップを作成しました。検知した課題のうち、深刻度、発生可能性が高いものから優先的に対応すべく、日本政府が定める「責任あるサプライチェーン等における人権尊重のためのガイドライン」に基づき、対応方針や計画を策定し、2024年度にかけて取り組みを開始予定です。なお、上記計画に先駆け、人権リスクが極めて高いと判断した一部機材を使用する海外事業においては、サプライヤーへ人権対応の状況や自社のサプライチェーンを確認する質問票を送付し、審査を行う取り組みを開始しています。

人権リスクマップ(要約版)(対象:海外EPC事業)

今後取り組む課題と方向性

今後は策定した人権デューディリジェンスのプロセス、および対策案に基づき、リスク低減措置の取り組みを具体的に実施していきます。加えて、現在国内外のEPC事業を対象として実施している人権デューディリジェンスプロセスを、2024年度から機能材製造事業会社にも展開していく予定です。

社内研修を通じて人権意識を向上

社内人権研修の様子

社員一人ひとりが、人権尊重のために企業が果たすべき社会的責任を理解すべく、2022年度は役員・社員を対象に「ビジネスと人権研修」を実施しました。研修のなかで行われた社外の人権専門家と経営マネジメントとの対談においては、経営マネジメント自身が社員に対して積極的に人権に対する考えを発信し、人権尊重の重要性が改めて認識されました。このように人権への意識を社内でより高めることで、今後進めていく人権デューディリジェンスの実効性向上につなげていきます。

主な取り組み

「JGC Vendor and Contractor Expectations」の配布

「JGC Vendor and Contractor Expectations」の一部

当社グループでは、協力会社への引き合い時に、人権尊重に関する規程が含まれる「JGC Vendor and Contractor Expectations」を配布し、同Expectationsへの理解を求めています。
さらに、協力会社と締結する契約書には、人権保護に関する条項を規定し、国際的に認められた人権の尊重への理解、実践を要請しています。

Building Responsibly(BR)への加盟

BR BUILDING RESPONSIBLY
Building Responsiblyの概要
設立年:2017年
Board Member:13社

日揮グローバルは、石油ガス業界の中でのエンジニアリング会社などが中心となり、労働者の権利を守り、福祉を尊重することを目的とする団体、「Building Responsibly」にBoard Memberの一員として参画しています。「Building Responsibly」では、建設現場労働者の作業環境、労働安全衛生条件や宿舎などの居住条件などについて国際基準としての方針や要領(ガイドライン)を作成し、業界における建設現場労働者の権利保護を推進しています。

APEC主催の会議で、建設現場における人権対応の重要性について発表

日揮グローバルの建設部員が、2023年5月に米国で開催されたAPECの人財開発作業部会に参加し、当社が遂行中のLNGカナダプロジェクトで実施されているIIF活動について発表を行い、ディスカッションに参加しました。現場でのIIF活動などに関するプレゼンテーションはBRからも非常に高く評価されました。建設現場におけるIIF活動は、建設労働者をケアするという現場の文化形成であり、Worker Welfare向上に貢献しています。

  • IIF活動:Incident and Injure Free。安全コンサルタントのJMJ社によって開発された、誰もが怪我なく家に帰るという、現場における安全文化の形成手法。