気候変動への対応
基本的な考え方
持続可能な社会の実現に向けて、気候変動への対応は世界的な課題となっています。当社グループはマテリアリティとして「環境調和型社会」を掲げ、事業活動を通じ気候変動への対応を図るとともに、気候関連財務情報開示タスクフォース(TCFD)による提言のシナリオ分析などを踏まえて事業戦略を検討・策定しています。
ガバナンス体制
当社では、日揮ホールディングスの取締役会議長であるCEOが、気候変動対応を含めた経営すべてに責任を負っています。また、2021年5月に発表した長期経営ビジョンおよび中期経営計画は、リスクと機会の把握を含めた気候変動シナリオ分析の結果も踏まえて、取締役会での審議を経て策定しました。また気候変動関連課題のモニタリングは、代表取締役の諮問機関であり、当社グループの気候変動対応を含めたサステナビリティに係る方針および行動計画の策定、ならびに行動の評価・推進に係る審議を行うサステナビリティ委員会により行われます。
リスク管理
当社グループではグループリスク管理委員会などの枠組みのもと、気候変動を含む様々なリスクに対して低減と未然の防止に努めています。(リスクマネジメント参照)
気候変動に関するリスクおよび機会の認識
新たな規制リスク | グローバルなカーボンプライシングの導入は資機材コストや燃料の高騰につながり、将来、事業コストに影響を及ぼす可能性がある。また、炭素税の導入、各国の炭素排出目標の強化などは、オイル&ガス分野におけるプラント需要の減少によって受注機会が減少するリスクになり得ると認識している。 |
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技術リスク | 電気・燃料電池自動車の普及によるガソリン需要の減少や脱炭素素材の普及、また高性能蓄電池の普及によって再生可能エネルギーへのシフトが進むことは、オイル&ガス関連プラント需要の減少につながる可能性がある。 |
法的リスク | プラント建設プロジェクトの入札の資格要件として、将来気候変動対策に関する情報開示等の要求が高まることが想定され、対応できない場合、失注やレピュテーション低下のリスクがある。 |
市場リスク | オイル&ガス関連プラント需要の減少によって、受注機会が減少する可能性がある。 また、金融・資本市場の化石燃料関連ビジネスに対する忌避がプロジェクトの成立に影響を及ぼすリスクもある。 |
レピュテーションリスク | 低炭素化、再生可能エネルギー、水素関連など気候変動対策に貢献する技術力を有する企業としての評価の維持・向上を怠った場合には受注機会、資金調達、人財確保などの諸側面で悪影響が生じるリスクがある。 |
緊急性の物理的リスク | 豪雨や暴風雨、台風、洪水など、温暖化に起因するとされる極端な気象現象が増加することによって、資機材・当社グループの施設への物理的被害、従業員に対する人的な被害に加え、資機材調達の遅延も含め事業に影響を与えるリスクがある。 |
慢性の物理的リスク | 上昇する平均気温により、温帯・熱帯地域での建設現場の労働生産性の低下による工期延長が一般化する可能性がある。 また、労働安全リスクの増加による対策費用および災害補償費用の増加も懸念される。加えて、沿岸地域での海面上昇が発生した場合、港湾が使えなくなることによる輸送コストの上昇リスクがある。 |
製品・サービス | 太陽光発電、バイオマス発電などの再生可能エネルギー発電設備について、当社グループは多数の実績を有しており、脱炭素化に向かう国際社会の流れの中で受注機会の増加が期待できる。また、需要の拡大が見込まれている洋上風力発電分野についても専門組織を設立し、受注の拡大を目指している。 |
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国内外で複数の実績を有するCCS(CO2の回収・貯留)、及び他社と共同で開発を進めているCCUS(CO2の回収・有効利用・貯留)の技術をオイル&ガス分野に応用することにより、受注機会の増加につながることが期待できる。 | |
脱炭素社会に向けてCO2を排出しない水素、アンモニア、SMR(小型モジュール原子炉)などの分野について、当社グループは技術開発含め、取り組みを進めてきており、今後受注機会の増加が期待できる。 | |
当社グループが開発を進めている、廃プラスチックケミカルリサイクル、廃繊維リサイクル、SAF(次世代航空機燃料)などの技術に関して世界的な資源循環ニーズの高まりに伴う需要の拡大が期待できる。 |
シナリオ分析

戦略
移行シナリオにおける、再生可能エネルギー利用の拡大、GHG排出削減にかかわるカーボンプライシングなど各種政策の導入を機会と捉え、グループのコアコンピタンスを活かした関連する事業領域への拡大を目指します。長期経営ビジョンと中期経営計画において、気候変動関連ではエネルギートランジション領域や資源循環領域をビジネスの軸として位置付けています。(長期経営ビジョン参照)
指標と目標
中期経営計画において、グループ企業の自社拠点での事業活動に伴うGHG排出量(Scope1+2)について、「2050年 ネットゼロ」を宣言するとともに、2030年度までの売上高当たり排出量の2020年度比30 %削減を目指すこととしています。2021年度のScope1+2のGHG排出量は、133,573tonCO2で、売上高ベースで2 %の増加となりました。なお、2021年度のScope3排出量は702,873tonCO2でした(いずれもCDP回答ベース)。
「2050年カーボンニュートラル宣言」で掲げる目標

気候変動関連のイニシアティブへの対応
当社グループは2021年度より、国際的なNGOである「CDP」の調査に回答を開始するとともに、気候関連財務情報開示タスクフォース(TCFD)による提言への賛同を表明しました。
詳しくは、CDP Climate Change 2022回答[PDF:678KB]をご覧ください。

