Sustainability Initiatives
昨今、廃プラスチックによる海洋汚染が世界的な社会課題となっており、資源循環の観点でも、有効なリサイクル手法の確立が求められています。日揮グループは、プラスチックの完全循環を実現するEUP ガス化ケミカルリサイクルを通じて、廃プラスチックのリサイクルを推進しています。
深刻化する海洋汚染
近年、廃プラスチックによる海洋汚染が深刻化しており、このままでは、2050年までに海洋の廃プラスチックの量が魚の量を超えるという試算*もあります。一方で高い利便性から世界のプラスチック需要は2050年までに3倍以上(2015年比)に増加することが予測されており、これ以上汚染を進めないために有効なリサイクルシステムの確立が喫緊の課題となっています。
- *THE NEW PLASTICS ECONOMY: RETHINKING THE FUTURE OF PLASTICS & CATALYSING ACTION, ELLEN MACARTHUR FOUNDATION, 2017
リサイクル率向上に不可欠なケミカルリサイクル
廃プラスチックの削減に向けて日本政府が掲げる目標値*を達成するためには、プラスチックリサイクル率の大幅な向上が不可欠です。そのためには、マテリアルリサイクル**を最大限利用しつつ、混合プラスチックや不純物を含むプラスチックなど、マテリアルリサイクルが困難な廃プラスチックにも適用が可能なケミカルリサイクルの推進が求められています。
- *日本政府は、2019年に発表した「プラスチック資源循環戦略」において、2030年までに、プラスチック製容器包装6割のリユース又はリサイクル実現を目指している
- **廃プラスチックの分子構造を保ったまま溶融/成形などの加工を施し、再利用する方式
世界で唯一の商業運転実績を有するEUP
荏原環境プラント(株)と宇部興産(株)が開発したEUP(Ebara Ube Process)は、廃プラスチックを酸素と蒸気による部分酸化によりガス化し、アンモニアやオレフィンなどの化学品合成に利用可能な合成ガスを生産するプロセスであり、ガス化ケミカルリサイクル用途では世界で唯一の長期商業運転実績*を有しています。日揮グループは、2020年10月にEUPライセンスの再実施許諾権契約を締結し、オフィシャルライセンサー/コントラクターとして、ライセンスの供与と設備の建設を担います。
- *2003年より昭和電工(株)川崎事業所において稼働
廃プラスチックが水素に
EUPが生産する合成ガスは、精製処理することにより水素の製造が可能であり、発電や燃料電池自動車向けに活用することができます。「水素の地産地消モデル」を基軸としたスマートシティの実現を通じて、水素社会の構築に貢献します。
使用済み食用油を用いた次世代航空燃料(SAF)
日揮グループは、(株)レボインターナショナル、コスモ石油(株)と共同で、使用済み食用油を水素化処理し、国産のSAF(次世代航空燃料)を製造するサプライチェーンの構築にも取り組んでいます。既に欧米では実用化が進んでいるSAFの国産化を推進することで、国内航空業界の脱炭素化に貢献します。