ステークホルダーとのエンゲージメント

基本的な考え方

日揮グループでは、持続的な成長と企業価値向上には、企業活動のあらゆる場面で様々なステークホルダーとの対話(エンゲージメント)が必要不可欠であると認識し、積極的なコミュニケーション活動を展開しています。定期的に経営・関係部署にフィードバックし経営戦略に活かすとともに、財務情報だけではなく非財務情報の積極的な開示に努めることで、当社グループの経営方針をご理解いただける環境の実現に取り組んでいます。

株主・投資家とのエンゲージメント

株主・投資家との対話の実施状況

当社は、持続的な成長と中長期的な企業価値の向上に資するため、CFO(Chief Financial Officer)、広報IR部門および総務部門を中心に株主・投資家との建設的な対話を行い、参加者からいただいたご質問・ご意見については経営陣・取締役会にフィードバックを行っております。
なお、対話においては、関連部門で事前に公表可能な情報を確認する等、インサイダー情報の管理を徹底しております。

また、面談にご出席された株主・投資家側対応者の担当分野は以下の通りです。
●アナリスト ●ファンドマネージャー ●インベストメント・スチュワードシップ部門 
●責任投資運用部門 ●ESG推進部門等

(i) 株主・投資家の主な関心事項

  1. (1)業績・受注・マーケット環境の現況および見通し、中長期的な成長に向けた施策について
  2. (2)今後の自己株式取得など株主還元方針について
  3. (3)株価および資本コストに関する取り組みについて
  4. (4)人財およびジェンダーダイバーシティに関する情報開示の充実について
  5. (5)ESGおよびマテリアリティへの取り組みについて

(ii) 取締役会に対するフィードバックの実施状況

取締役会等にて、上記を含むフィードバックの概要を適宜報告するとともに、引き続き株主・投資家との建設的な対話に努める旨説明を行いました。フィードバックを受けた事項については経営企画部門を含む社内関連部門と共有し、統合報告書をはじめとした情報開示の充実を含めた対応の検討に着手しております。今後も継続的な対話を通じて、企業価値の向上を目指してまいります。

統合報告書の充実

統合報告書 JGC Report 2024

当社の統合報告書は、投資家の皆さまに長期的なスタンスに立った投資判断を行っていただくうえでの重要な開示資料として、毎年、記載内容の充実を図っています。2023年の統合報告書では、事前に株主・投資家の皆さまから様々なご意見をいただき、企画内容に反映しました。また、前回は中期経営計画の3年目となり、「ここまでにどのような進捗があったのか、そして2025年までの残り3年間で目標は達成可能なのか」という点に株式市場の関心が集まっていました。そのため、3つの重点戦略別に具体的な取り組みの進捗から事業環境、今後の方針を示し、中期経営計画で掲げた目標の達成までの道筋を表現しました。加えて、非財務情報開示の拡充にも引き続き注力し、特に当社グループが持続的に成長していくうえで必要不可欠である人的資本の強化・充実に向けた取り組みについては、人事戦略の全体像から具体的な施策までを体系的に整理しました。

ホームぺージの拡充

株主・投資家に対する情報開示の拡充を図るため、ホームぺージにおける開示情報の拡充に取り組みました。機能材製造事業に関する取り組み紹介やサステナビリティに関する取り組み紹介ページを新たに制作・改訂することで株主・投資家を中心とした幅広いステークホルダーの方々にご理解いただけるよう努めています。

社員とのエンゲージメント

トップマネジメントとの対話、社内報(年4回)など

トップマネジメントと対話する社員
海外の建設現場で安全文化について説明する日揮グローバル社長

 当社グループでは、トップマネジメントと社員の座談会を定期的に開催しており、本音の対話やビジョンの共有を図っています。その一環として「日揮協議会※1」を設置しており、会社の発展と社員の生活向上は経営の両輪であり不可分であるという認識のもと、トップマネジメントと社員双方がより良い日揮グループを自分事として考え、懇談協議する場を提供しています。1972年の創設以来、各社のトップマネジメントと社員が対話する座談会は100回以上開催されています。また持株会社体制移行後は4社横断の座談会※2を加え、2024年7月に実施した座談会ではグループとしての中長期の経営戦略について議論し、社員に求められていることを明確にしました。
 また、トップマネジメントなどによる建設現場訪問も継続的に実施しており、毎年事業会社のトップマネジメントや役員などが安全文化の醸成を目的に国内外の各建設現場を訪問し、駐在社員との対話に努めています。
 その他、社内報や全社掲示板など様々な媒体を活用し、社員に会社の経営方針や経営課題を浸透させる取り組みを進め、グループ社員の帰属意識の向上につながるコミュニケーション活動を実施しています。

  1. ※1現在の対象は日揮ホールディングス、日揮コーポレートソリューションズ、日揮グローバル、日揮の4社
  2. ※2当社のトップマネジメントと4社の社員全員を対象とする座談会

顧客とのエンゲージメント

資源国人財向け研修プログラム

研修の総括を発表するサウジアラビアからの研修生

当社グループは、資源国との関係強化を目的に、過去数十年にわたり、資源国の技術者や化学工学などを専攻する学生に対する各種研修プログラムを実施しています。プログラムを受講した多くの技術者が帰国後に自国の資源開発・産業発展に貢献しており、当該国におけるビジネスの拡大にもつながっています。
研修プログラムの内容は、派遣元各社・大学の意向や研修期間によって異なりますが、世界各国で豊富なプロジェクト遂行実績を有するエンジニアリング会社としての特長を活かし、プロジェクトの遂行管理や各種設計技術に関する実践的な講義やOJTが中心となっています。

サプライヤーとのエンゲージメント

技術支援活動

溶接工向けトレーニングの様子

当社グループは、プラント建設国における現地調達を積極的に推進しており、高難度の機器を発注するケースでは、当社グループのエンジニアが発注先工場に赴き、サプライヤーの製造設備や設計者の技量に応じた技術指導を実施しています。こうした取り組みにより実現されるサプライヤーとの良好な関係を貴重な取引先資産と捉え、サプライヤーに対する技術支援を積極的に行っています。

地域社会とのエンゲージメント

イラク・バスラ州における地元小学生を対象にした取り組み

JGC Code Education受講者の様子

海外の建設現場においては、円滑にプロジェクトを遂行するうえで地域社会との協調が不可欠であると考えています。当社グループが現在建設プロジェクトを遂行しているイラクでは、イラク戦争後の国民の学力低下が顕著であり、特にバスラ州では教育に対する投資が不足しています。また、若者の失業率も非常に高く、大学を卒業しても就職が難しい状況にあります。このような背景のもと、子どもへの教育機会の提供、若者への雇用機会の創出などの長期的な貢献を目的に2022年より毎年、バスラ州の公立小学校向けにプログラミング教育や科学実験教室を実施しています。2023年度までにプログラミング教育には約1万6,000人、科学実験教室には約7,000人が参加しました。

地域社会・次世代人財とのエンゲージメント

神奈川県の公立中学校・高校の企業訪問の受け入れ

当社グループでは、神奈川県の公立中学校・高校の企業訪問を受け入れ、社員との懇談会や業務のVR体験などを通じて、コミュニケーションを図っています。2023年度は「2040年の生活はどう変わるか」をテーマに身近な生活のなかで課題となりそうな点を想像し、社員と高校生がアイデアを交換しながら課題解決の方法を考えるワークショップを実施しました。当社グループの持続可能な社会実現への取り組みに関する理解促進を図りました。

小学生を対象とした化学実験講座を実施

化学実験講座の様子

当社グループ会社である日揮触媒化成株式会社では、同社北九州事業所において、地元の小学生を対象とする化学実験講座を毎年開催しています。地域社会との交流・貢献を通じて、機能材製造メーカーとして子どもたちが化学への興味を深める機会を提供するとともに同社の事業活動の理解促進を図りました。今後も地域社会との良好なエンゲージメントを構築していきます。
その他当社グループの社会貢献活動についてもご覧ください。