AWP(Advanced Work Packaging)

AWPとは

AWPとは、"Advanced Work Packaging"の略称で、2011年に米国CII (Construction Industry Institute)が提唱した建設工事の生産性向上・コスト削減を第1目的としたプロジェクトマネジメント手法です。プロジェクトの初期にPath of Constructionを策定し、これを元にプロジェクトを管理可能な単位(=Work Package)に分割し、ネットワークスケジュールを作成し、図面や材料、リソース等の制約条件をあらかじめ設定・計画し、遂行・管理していく手法です。手法自体は当社グループが従来から行ってきたConstruction & Commissioning driven approachのEPCプロジェクトマネジメント手法そのものであり、当社グループの強みになっています。

日揮のAWP x Data Centric EPCプロジェクト遂行と当社の強み

当社グループでは、CIIが提唱するAWPを更に発展させる形で導入しています。その仕組みのカギは以下の通りです。

  1. 1.E、P、C業務を標準化・デジタル化することで、業務効率・生産性が向上
  2. 2.Data Centric EPC思想の下にTag Master/DATA Hubを開発・導入することで、E-P-C情報の一元管理、情報の信頼性とリアルタイム性が向上
  3. 3.より高度なAWP遂行とEPCプロジェクト遂行を可能とすることで、スケジュール・コスト・品質・安全・リスク管理力が向上

当社グループでは上記の仕組みを「AWP x Data Centric EPC」と定義し活用することで、お客様にCAPEX ミニマムなプロジェクトコストをご提案し、安全にスケジュール通りに品質・性能を提供する、透明性あるプロジェクト運営を常に目指しております。それにより、お客様のプロジェクト遂行体制の最適化、操業へのシームレスな引き渡し、事業計画の最適化をご支援いたします。また、最適なプロジェクト遂行により環境負荷の軽減も達成いたします。

AWP x Data Centric EPCとProject Digital Twin

Digital Twinは、現実世界の双子を仮想空間に構築することです。
当社グループでは「AWP x Data Centric EPC」プロジェクト遂行のためのシステム群で、Project Digital Twinを構築しており、更なる高度化を進めています。

DATA Hub

DATA Hubとは、E-P-Cのプロジェクト遂行情報をWBSとTag/Assetをkeyに統合管理する当社グループ内製のシステムです。
下記のE・P・Cシステム群を連携・同期するハブ&スポークの役割を担っており、E-P-C情報の一元管理、情報の信頼性とリアルタイム性を可能にしています。

Engineering Management

EMS

EMSは、設計で用いるエンジニアリングデータの管理システムです。プラントの設計に関わる、部門間の設計データの受け渡しを一つのプラットフォームで行うことで、設計業務の効率化が可能になります。
また、設計ソフトウェアとシステム連携させることで、常に最新のデータがEMSに保持され、設計部門間で共有されるため、設計業務の飛躍的なスピードアップと品質向上を実現します。更には短時間に複数の設計案を定量的指標とともに提案するGenerative Designの導入や、設計業務の自動化のための土台となる重要な位置付けのシステムです。

J-Driven®

J-Driven®は、AWP遂行で作成されるEWP (Engineering Work Package)、PWP(Procurement Work Package)の管理システムです。EWP、PWP単独のステータスを管理するだけでなく、それらのネットワークをJ-Driven®上に再現することで、大型プロジェクトで見えにくくなっている作業のボトルネックを一目で確認することができます。作業のボトルネックをリアルタイムに把握することで、早い段階でその解消が可能となり、高い品質でのプロジェクト遂行が行えるようになります。

J-Driven®上でのWork Packageネットワークの再現例

Construction and Turnover Management

当社グループのConstruction and Turnover Management Systemは3つのコアシステム、CMS、Origin®、FieldOpt®で構成されます。プロジェクト立ち上げ期のWBS/Work Package設定、Path of Constructionおよびプロジェクトマスタースケジュールに則したIWP単位のスケジュール策定の計画フェーズから、工事・検査の遂行管理フェーズ、テストフェーズ、コミッショニングフェーズから引き渡しまでシームレスにデジタル管理を可能にするシステム群を構築済みです。(図2参照)

CMS

設計・調達システムと連携・同期し、かつ、建設ターンオーバー系の全ての情報とデータを統合管理するデータベースです。図書・材料・施工状況とスケジュール、制約条件、工事・引き渡し優先順位などの前提条件を元に先読みシミュレーションする機能を有し、弊社の強みである建設リスク管理の基盤システムになります。

Origin®

MODS社と共同開発したペーパーレス・3D連携機能を有するアプリケーション群です。IWP計画管理、配管テスト/計装ループテスト、検査/引き渡し、工事許可証などの主要な建設・引き渡し業務をペーパーレス化し、4D可視化によりステークホルダー間のリアルタイムな情報共有・意思決定を強力に支援するシステムになります。(図1参照)

FieldOpt®

人・建機・資材などの建設リソースマネジメントを行うシステム群です。RFID、 GPS、 Beaconなどのハードウェアとソフトウェアを組み合わせることにより、労働・稼働状況をモニタリングして、CMS/Origin®と連携することで効果的な生産性管理を可能にします。

図1. MODS社と共同開発したOrigin®

図2. Construction and Turnover Managementの全体図

Procurement and Project Management

PMS

Procurement and Project Management System(PMS)は、図書管理システム、材料集計システム、発注・製作工程・輸送管理システムで構成され、設計・建設およびベンダーとのシームレスな情報連携を可能にしています。

Integrated Correspondence and Ticket System (Corret)

Corretは、EPCプロジェクトに関わる全てのステークホルダーの皆さんとの様々なコミュニケーションを効果的に・円滑に行うことができる、統合コミュニケーションプラットフォームです。会社間・部門間・担当者間のレター、業務依頼、議事録などのあらゆるコミュニケーションとアクションを効果的に管理し、共有することができます。

当社グループの強み

プロジェクトが大型化するにつれて、管理すべき項目数は膨大になり、それらの関係性も急激に複雑化していきます。複雑化することでプロジェクトの状況を把握し切れなくなると、問題が発生してもそれに気付かず、スケジュール遅延・コスト超過を招いてしまいます。
上述の通り、当社グループはAWPとData Centric EPCを融合した、Project Digital Twinを実現する内製システムを有しております。この独自の強みを活用し、確実なプロジェクト遂行管理を実現することで、高度化、複雑化する世界のさまざまな課題解決に貢献します。