高圧再生型CO2回収(HiPACT®)プロセス
HiPACT®は、天然ガスや合成ガス中の二酸化炭素(CO2)を吸収分離し、高圧で回収する技術です。
この技術を用いることにより、CO2を低コストで地中に貯留(CCS: Carbon dioxide Capture and Storage)することができ、地中貯留のために新たに必要となるエネルギーを大幅に削減し、地球温暖化防止に貢献します。
本プロセスはBASF社との共同開発技術です。2010年に国際石油開発帝石株式会社(現 株式会社INPEX)の天然ガスプラントに適用した実証試験を終了し、商業化可能となりました。2015年にはセルビアの石油会社であるナフトナ・インダスリジア・サービジェがHiPACT®プロセスを適用したCO2回収を伴うガス処理・CCS設備の商業運転を開始し、現在も稼働を続けています。
また、株式会社INPEXが国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)の助成事業として実施する「ブルー水素・アンモニア製造・利用一貫実証試験」に係る地上設備(国内新潟県)にもHiPACT®プロセスが採用され、2025年に稼働予定です。
カーボンニュートラル社会の実現に向けて重要性が高まる水素・アンモニア等のクリーンエネルギー製造設備においても、HiPACT®の導入が進められています。
特長
- HiPACT®は化学吸収法によるCO2回収技術です。従来の溶剤に比べ以下の特徴を有しております。
- 優れた高温耐久性
- 優れたCO2吸収性能
- これらの特徴により高圧CO2の回収を従来よりも省エネルギーで行うことが可能となり、CCSに係るエネルギーを大幅に低減します。
- 従来プロセスと比較して約25~35%のCO2回収・圧縮コスト削減効果が期待できます。
- CCSの他に、CO2による石油増進回収(EOR: Enhanced Oil Recovery)、高純度CO2製造(液化炭酸ガスあるいは化学品合成向け)に効果を発揮します。
適用
- 天然ガスプラント、LNG(液化天然ガス: Liquefied Natural Gas)プラントにおけるCO2回収設備
- 合成ガスを経由するアンモニア、尿素、水素、酢酸、メタノール、代替天然ガス(SNG: Substitute Natural Gas)などの製造プラントにおけるCO2回収設備
- 石炭、重質油などを原料としたガス化複合発電プラント(IGCC: Integrated Gasification and Combined Cycle)におけるCO2回収設備(CO2フリー発電への展開)
CCS模式図
実績
以下のプラントにHiPACT®技術を供与(ライセンス)
- 天然ガス精製/CCS 1件
- ブルー水素・アンモニア製造/CCS 1件