2021年ニュースリリース

2021/11/04

廃プラスチック油化によるケミカルリサイクルを推進

日揮ホールディングス株式会社(代表取締役会長CEO 佐藤 雅之)は、このたび旧札幌プラスチックリサイクル株式会社によって商用運転が行われた実績のある廃プラスチックの油化プロセスに関する技術を活用した、ケミカルリサイクルに関する自社ライセンスの開発を開始しましたので、お知らせします。

1. 背景

昨今、廃プラスチックのリサイクルは世界的な課題となっており、有効な資源循環システムの確立が急務となっています。
廃プラスチックのケミカルリサイクルは、リサイクルが困難な異種素材や不純物を含むプラスチックを分解し、様々な化学物質に再生することが可能であり、リサイクル率の大幅な向上をもたらす技術として期待されています。
不純物を多く含むプラスチックをケミカルリサイクルするには、ガス化、油化などの手法がありますが、油化プロセス技術は他の技術と比較して、プラスチックへのリサイクル効率が高く、製油所・石油化学プラントの既存設備を最大限活用することで、初期設備投資を抑えることができる利点を有しています。

2. 油化プロセスについて

旧札幌プラスチックリサイクル株式会社で適用されていた油化プロセス技術(以下「同プロセス技術」)は、他の油化プロセス技術では事前除去する必要がある塩化ビニル(PVC)を同時に処理することが可能であり、また残渣を適切に排出することで安全かつ安定的に連続運転が可能という技術的な優位性を有しています。
同プロセス技術は、旧札幌プラスチックリサイクル株式会社によって2000年から10年間、年間1万5千トン規模の処理量で商用運転が行われた実績を有しており、油化プロセス技術の中で最も信頼性の高い技術であると考えています。

3. 今後の方針

当社グループは、同プロセス技術の技術的優位性、および実績をベースに、プロセス技術全体のさらなる効率化や処理能力の向上を目指した装置の大型化による経済性向上に向けた技術改良を図り、2022年のライセンス開始を目指します。
廃プラスチック油化事業は、原料となる廃プラスチックの収集に加えて、製造された油を既存の精製設備などを活用していかに効率的に製品化できるかが、ケミカルリサイクルのサプライチェーン構築に向けて重要となります。
当社グループは、これまで蓄積してきた石油精製・石油化学プロセスの設計技術および高度なプロジェクト管理能力を活用し、顧客が所有するプラント全体の付加価値向上に資する提案を行っていく所存です。
当社グループは、中期経営計画「Building a Sustainable Planetary Infrastructure 2025」でケミカルリサイクルを重点分野に位置づけており、ガス化(EUPガス化ケミカルリサイクル)、モノマー化(廃繊維リサイクル)を含め、幅広いプロセス技術を通じてケミカルリサイクルを推進し、循環型社会の構築に貢献してまいります。