2023年ニュースリリース

2023/02/22

風力発電所向け電力ケーブルの最適設計技術を確立

風力発電所の建設コスト削減に貢献

日揮ホールディングス株式会社(代表取締役会長CEO 佐藤雅之)は、国内EPC事業会社である日揮株式会社(代表取締役社長執行役員 山田昇司 以下、日揮)が、風力発電所の建設コストの削減に貢献する電力ケーブル最適設計技術を確立しましたので、お知らせします。

1. 風力発電を取り巻く課題

2021年10月に公表された第6次エネルギー基本計画では、再生可能エネルギーの主力電源化が謳われ、この中で陸上風力の導入拡大、洋上風力の案件形成の加速に取り組むとされています。こうした背景から、現在、日本国内では陸上風力、洋上風力ともに発電所建設計画が活発化していますが、導入のための課題のひとつとして発電所建設コストの削減が挙げられています。

2.建設コストにおける電力ケーブルの重要性

風力発電所設備は、発電機を備えた風車、電圧昇圧のための変電所、電力会社との連系を行う連系点で構成されます。これらの設備を接続する電力ケーブルは、風車の台数、変電所と連系点の位置によって異なりますが、発電量0.51GWの大規模洋上風力発電所の例では、電力ケーブルのコストは数百億円規模となり、風力発電所の全体建設コスト削減のためには、電力ケーブルのコストを如何にして削減するのかが重要な検討課題の一つとなっています。



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図 風力発電所の簡易構成図

3. ダイナミックレーティングによる最適設計

これまで、電力ケーブルのサイズ(径)は、敷設環境・電流・電圧・ケーブル仕様等に基づき、風力発電機が連続して出力100%となるレベルを想定し、最大の電力ケーブルサイズが選定されるのが一般的でした。

しかしながら、風況に応じて発電機出力が変動する風力発電においては、出力が100%となるのは限られた時間であることから、日揮は、世界の風力発電で電力ケーブルの最適化の実績があるDNV社(オランダ)とともに、日本国内の風力発電所向け電力ケーブルのサイズ選定方法について20214月から検討を重ねてきました。

その結果、風況と発電機出力を詳細にシミュレーションするダイナミックレーティングにより、ケーブルサイズの余裕分を必要最小限とする最適設計技術を確立し、具体的には電力ケーブルの長さやサイズにより異なりますが、日本国内の陸上・洋上風力発電所向けの電力ケーブルコストの10%程度の削減効果が期待できることを確認しました。

4. 今後の予定

日揮は、今後導入が加速する陸上・洋上風力発電所の建設計画に対し、今般のダイナミックレーティングによる電力ケーブル最適設計技術を始めとして、エンジニアリング会社の高度な技術力を発揮し、日本国内における風力発電の導入加速に貢献していきます。