2021年ニュースリリース

2021/01/22

豪州における水素製造プラントの基本設計に関する契約締結について

住友商事株式会社(本社:東京都千代田区、代表取締役 社長執行役員 CEO:兵頭誠之、以下「住友商事」)と、日揮ホールディングス株式会社(本社:神奈川県横浜市、代表取締役会長CEO:佐藤雅之)の海外EPC事業会社である日揮グローバル株式会社(以下「日揮グローバル」)は、住友商事が豪州クイーンズランド州のグラッドストンで計画中の水素製造・販売プロジェクト(以下、「本プロジェクト」)において、水素製造プラントの基本設計役務を日揮グローバルに委託する契約を締結しました。

豪州政府は、2019年に策定した「国家水素戦略」において「2030年には世界に伍する水素国家になる」というビジョンを打ち出し、現在、国を挙げて水素産業の創出に取り組んでいます。グラッドストンは、既存の産業インフラや行政による充実した支援体制、および素材産業、港湾など需要家の存在を背景に、水素製造・販売事業の適地として注目されています。また、晴天率が高く日照時間が長いので太陽光発電の適地でもあります。

本プロジェクトは、グラッドストンにおいて、太陽光由来の電力を主電源として、水の電気分解装置から水素を製造、現地で販売し、地産地消型の水素コミュニティの構築を検討するものです。今般基本設計を行う初期の水素製造プラントでは、年間250-300トンの水素製造を予定しております。初期プラントでの水素製造実証を行うとともに、同地域での需要開発を進め、地産地消型の水素事業の可能性を検討します。

住友商事は、水素を将来の重要なエネルギーのひとつとして位置づけ、エネルギーの地域性と水素の特性を活かした地産地消型の水素事業や、水素の大量製造・輸送/貯蔵・利用を推進する大型水素バリューチェーン事業など、水素関連事業開発に取り組んでいます。水素関連事業の推進により、気候変動緩和に関する長期目標である「2050年のカーボンニュートラル化」の達成と、「持続可能なエネルギーサイクルの実現」に大きく貢献すべく、今後も水素社会の実現に向けた取り組みを加速させていきます。


日揮グループは、企業グループとして取り組むべき重要課題(マテリアリティ)として「環境調和型社会」の実現と「エネルギーアクセス」の向上を挙げ、燃焼時にCO2を排出しない水素、および経済性や安全性の観点で課題がある水素輸送において、最も有力な水素エネルギーキャリア*として期待されているアンモニアの利用拡大に向けた幅広い取り組みを行っております。2018年10月に国立研究開発法人 産業技術総合研究所と共同で、再生可能エネルギーによる水の電気分解で製造した水素を原料とするアンモニアの合成、および合成したアンモニアを燃料としたガスタービンによる発電に世界で初めて成功し、現在、他企業と協力して、海外での燃料アンモニア製造案件の開拓を行っています。

加えて、廃プラスチックのガス化による水素製造装置の提案を行うなど、今後も国内外で水素社会の実現に貢献していく所存です。


* 水素エネルギーキャリア

気体のままでは貯蔵や長距離の輸送の効率が低い水素を、液体にしたり水素化合物にして効率的に貯蔵・運搬する方法。