2020年ニュースリリース
2020/11/19
連続貧溶媒晶析を可能とする画期的な層流混合装置の商品化が最終段階へ
原薬・中間体の連続製造に向け大きく前進
日揮ホールディングス株式会社(代表取締役会長CEO:佐藤 雅之)は、国内EPC事業会社である日揮株式会社(代表取締役社長執行役員:山田 昇司)が、株式会社ノリタケカンパニーリミテド(代表取締役社長:加藤 博、以下ノリタケ)と共同で研究開発を進めていた、連続貧溶媒晶析を可能とする層流混合装置の商品化が最終段階に至りましたのでお知らせいたします。
研究開発の背景
現在、製薬業界では米国食品医薬品局(FDA: Food and Drug Administration)が優先課題として提唱以降、世界的に従来のバッチ製造法※1から、低コストかつ高品質な医薬品の柔軟な製造の実現を可能とする連続製造法※1への転換を目指した技術開発が進んでいます。
既に固形剤製造の分野では、日米欧において連続製造法を用いて製造された製品が製造・販売されていますが、原薬※2や中間体※3などの有効成分の製造工程※4、とりわけ晶析工程※5では、晶析方法として多用されている貧溶媒晶析法※6における連続製造法の確立が急務になっています。
※1 バッチ製造法と連続製造法:
バッチ製造法は、製造プロセスの初めに原材料を製造設備に投入し、一つの工程が完了する毎に全ての製品を取り出し、次の工程に順次進む製造法です。現在主流の製造法として多くの設備に採用されているものの、各工程の設備の規模が固定化されるため、全体の生産量も固定化される特徴があり、外的要因による医薬品不足や緊急時に発生する生産計画の変動への対応に課題がありました。
一方、連続製造法は、製造プロセスが稼働している間、製造設備に原材料を連続して投入し、継続して製品を取り出す製造法であり、設備稼働時間の変更により、柔軟に生産計画の変動に対応することが可能です。また、バッチ製造法に比べ、装置規模を格段に縮小できるため、設備投資額の低減も実現することできます。
※2 原薬:医薬品の中に含まれる有効成分。
※3 中間体:医薬品の製造過程で製造される化合物。- ※4 医薬品の製造工程
- ※5 晶析工程:溶液中に含まれている成分を結晶として析出する工程。
- ※6 貧溶媒晶析法:
貧溶媒晶析法は、有効成分の飽和溶液に貧溶媒(ある物質に対して溶解度の小さい溶媒)を徐々に添加し、飽和溶液に対する有効成分の濃度を高め、過飽和状態とすることで、析出する有効成分の結晶を得る晶析法です。
貧溶媒晶析法における連続製造上の課題
バッチ製造法では、添加する貧溶媒の液量を調整できるため、徐々に濃度を高めることが可能ですが、連続製造法では、通常両溶液を配管内で混合するため、徐々に濃度を高めることが困難であることに加え、求められる製造量が比較的少量であり、配管内の溶液が層流状態※7になるため、溶液の混合が困難でした。
- ※7 流体が流れる方向に対して規則正しく流れ、溶液の混合が困難となる状態。
研究開発の概要
日揮は、貧溶媒晶析法における連続製造法の課題解決を目的として、2017年に開発チームを立ち上げた後、2019年6月からノリタケと共同で研究開発を進めてまいりました。
日揮およびノリタケの共同研究開発チームは、2019年6月に、装置内の混合容器にノリタケが製造・販売を手掛ける微細多孔質セラミックフィルター、および複数のバッフル(邪魔板)を使用することで、層流状態の貧溶媒の濃度を徐々に上昇させつつ、両溶液の均一混合が可能な装置の開発に成功し、2020年1月にプロトタイプ装置が完成しました(下記概念図およびプロトタイプ装置の写真を参照)。
連続貧溶媒晶析を可能とする層流混合装置の成功は画期的であり、これまで実現が困難であった、連続貧溶媒晶析法の確立に大きく貢献するものと確信しております。なお、既にモデル化合物として、食塩ならびにアセトアミノフェンの連続晶析も確認しており、幅広い医薬品の連続晶析にも適用可能となることが期待されます。さらに連続製造法を用いた晶析以外の工程にも適用可能です。なお、本方式による晶析装置および晶析方法は2020年9月8日に特許が成立しております。(特許第6761560号)
日揮は、2020年11月25日~27日に幕張メッセで開催されるインターフェックスジャパン2020展示会において、プロトタイプ装置を日揮ブース(6ホール、22-62)に展示し、技術説明を行う予定です。
今後両社は2021年前半の販売を目途に最終商品化に向けた作業を進めるとともに、新設原薬・中間体の連続製造プラント、および商用計画に対する差別化技術の一つとして、積極的にプロモーションしていく所存です。
層流混合装置内における連続貧溶媒晶析技術の概念図
【概念図の説明】
円筒形の微細多孔質セラミックフィルター(以下、膜)を使用し、膜の内側から貧溶媒を均一分散させるとともに、複数のバッフル(邪魔板)を膜の外側に設け、外側に有効成分の飽和溶液を流すことで、層流下で貧溶媒の濃度を徐々に上昇させつつ、両溶液の均一混合が可能になりました。
プロトタイプ装置写真
創立 | 1904年 |
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本社所在地 | 愛知県名古屋市西区則武新町三丁目1番36号 |
従業員(グループ全体) | 5,120名(2020年3月31日時点) |
事業内容 |
1.工業機材事業(研削砥石などの製造・販売) 2.セラミック・マテリアル事業(セラミック関連商品などの製造・販売) 3.エンジニアリング事業(工業炉などの製造・販売) 4.食器事業(陶磁器食器などの製造・販売) |
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