2019年ニュースリリース

2019/10/01

持続可能な社会に向け新たな環境技術をコアとするビジネス構築を加速

10月1日付で「サステナビリティ協創部」を新設

日揮ホールディングス株式会社(代表取締役会長CEO 佐藤雅之)は、世界的な課題である環境問題の解決を通じて持続可能な社会の実現に貢献することを目的に、101日付で日揮ホールディングスに社長直轄の「サステナビリティ協創部」を新設し、自社開発などの新たな環境技術をコアとするビジネス構築を加速していくこととなりましたので、お知らせいたします。

<背景と目的>

昨今、二酸化炭素の排出削減、再生可能エネルギーの利用拡大、水素社会実現へのインフラ整備、廃プラスチック問題への対応などに代表されるように、世界的に環境問題の解決に向けた社会や企業の対応は不可逆的な流れとして定着し、持続可能な社会の実現を目指す動きはますます大きくなっています。

日揮グループは、企業グループとして取り組むべき重要課題(マテリアリティ)のひとつとして、「環境調和型社会」実現への貢献を挙げ、これまでLNG(液化天然ガス)プラントや太陽光、バイオマス発電所の設計・建設工事を通じて、環境負荷の小さい化石エネルギーの利用や再生可能エネルギーの普及に関して積極的に取り組み、世界各地で多くの実績を積み重ねてきました。

さらに、これらの環境関連プラントの設計・建設工事と並行して、二酸化炭素の排出抑制、水素エネルギーの実用化、廃プラスチックの有効活用の実現を目指した新たな環境技術の開発に対して、自社開発およびパートナー企業との共同開発を通じて積極的に取り組んできました。

日揮グループは、持続可能な社会実現への貢献という観点に加えて、環境ビジネスの将来性を踏まえ、環境分野を今後重点的に取り組むべき事業分野として捉えており、引き続き再生可能エネルギープラントやCCS(Carbon Capture & Storage)などの環境関連プラントの設計・建設工事に取り組んでまいります。

加えて新設した「サステナビリティ協創部」が主体となり、自社開発技術などを中心とする新たな環境関連技術のスピーディーなビジネス化を図っていくことで、持続可能な社会の実現に向け貢献していくと共に、日揮グループ全体の環境ビジネスの強化・拡大に取り組んでいく所存です。

<活動方針>

日揮グループは、サステナビリティ協創部を主体として、これまで開発してきた環境関連の自社技術を中心とし、最先端の環境技術を保有する企業との協業や大学とのオープンイノベーションも視野に入れ、かつ政府機関、自治体、企業(商社、金融機関、エネルギー・石油化学・化学企業など)とのバリューチェーンを構築してスピーディーな環境ビジネスの構築を図っていきたいと考えています。

また、新たな環境関連技術を活用したビジネスを構築していく上で、プラントの設計・建設工事のみならず、必要となる環境ビジネスへの投資主体として、さらにはバリューチェーン全体の取り纏め役を担ってまいりたいと考えています。

当面は、現在開発中の下記環境関連技術を対象として、具体的な環境ビジネス構築を目指していく予定です。

  • DDR型ゼオライト膜によるCO2分離・回収処理
  • 廃プラスチックのガス化ケミカルリサイクル
  • CO2フリーアンモニアを活用したエネルギーチェーンの構築
  • CO2の固定化と利用に関する新技術開発と商用化

(各テーマの現況は、以下をご参照)

日揮グループは101日から持株会社体制による新グループ経営体制に移行し、総合エンジニアリング事業(海外オイル&ガス事業、海外インフラ事業、国内EPC事業)、機能材製造事業、エネルギー・環境コンサルティング事業などの複数事業を遂行することにより、社会や顧客の高度化、複雑化する課題解決に貢献していく企業グループを目指してまいります。

この中で、環境問題の解決は日揮グループが取り組むべき重要課題であり、さらに企業グループとして一層の成長、拡大を図るため、環境分野に積極的に取り組んでいく所存です。


<ご参考>

4つのテーマの現況:

(1) DDR型ゼオライト膜によるCO2分離・回収処理

日揮グループは、独立行政法人 石油天然ガス・金属鉱物資源機構(JOGMEC)と共同で、ゼオライト膜による二酸化炭素(CO2)分離・回収の実証試験を本年21日より実施。本実証試験では、日本ガイシ株式会社と当社が共同で開発を進めてきたDDR型ゼオライト膜を用いたCO2分離・回収プロセスを適用(本年225日公表)。

(2) 廃プラスチックのガス化ケミカルリサイクル

日揮グループ、荏原環境プラント株式会社、宇部興産株式会社、昭和電工株式会社は、本年731日にEUPEbara Ube Process)を活用した廃プラスチックのガス化処理設備のEPCに関わる協業の検討を開始。本年内を目途にEUPのライセンス契約を締結のうえ、国内外においてガス化処理設備に関わる積極的な営業活動を展開し、EUPを用いた廃プラスチックガス化処理設備の提案およびEPC業務遂行を目指す。さらに、EUPを含む設備にて合成されるアンモニアやオレフィン等を用いた化学品製造設備の提案を通じ、国内外におけるガス化ケミカルリサイクルの普及および資源循環推進を目指す(本年828日公表)。

(3) CO2フリーアンモニアを活用したエネルギーチェーンの構築

(再生可能エネルギー由来の水素を用いたアンモニア合成)

日揮グループおよび国立研究開発法人 産業技術総合研究所で構成されるグループは、内閣府総合科学技術・イノベーション会議の戦略的イノベーション創造プログラム(SIP)「エネルギーキャリア」のもと、共同で研究を進めていた再生可能エネルギーによる水の電気分解で製造した水素を原料とするアンモニアの合成、および合成したアンモニアを燃料としたガスタービンによる発電に成功(20181019日公表)。

(4) CO2の固定化と利用に関する新技術開発と商用化

出光興産株式会社、宇部興産株式会社および日揮グループの3社は、複数の大学の参画を得て産学の協働で、カルシウム等を多く含む産業廃棄物を活用し、火力発電所や工場から排出されるCO2を資源へ転換する新技術開発を目的とする研究会「CCSU研究会」を本年3月に設立。本研究会は、国が地球温暖化対策としてCO2回収などの技術開発を推進する中、新技術として「カルシウム等を多く含む産業廃棄物を活用し、二酸化炭素と反応させて炭酸塩化および高付加価値化する」技術の開発を目指す(本年610日公表)。