ステークホルダーとのエンゲージメント

基本的な考え方

日揮グループでは、持続的な成長と企業価値向上には、企業活動のあらゆる場面で様々なステークホルダーとの対話(エンゲージメント)が必要不可欠であると認識し、積極的なコミュニケーション活動を展開しています。定期的に経営・関係部署にフィードバックし経営戦略に活かすとともに、財務情報だけではなく非財務情報の積極的な開示に努めることで、長期的かつ安定的に当社グループの経営方針をご理解いただける環境の実現に取り組んでいます。

株主・投資家とのエンゲージメント

株主との対話の実施状況

当社は、持続的な成長と中長期的な企業価値の向上の一助としていくために、CFO(Chief Financial Officer)、IR部門および総務部門を中心に株主との建設的な対話を行い、対話のなかでいただいたご質問・ご意見については、適宜、経営陣・取締役会にフィードバックを行っています。
なお対話に際し、当社関連部門で事前に公表可能な情報を確認する等、インサイダー情報の管理を徹底しています。
2022年度における株主との対話の実施状況は、以下のとおりです。

(i) 対話を行った株主の概要
2022年度は、国内機関投資家16社および海外機関投資家3社の合計19社に面談を依頼し、そのうち14社と面談を実施しました。なお、対話が叶わなかった海外機関投資家の1社に対しては、当該投資家の依頼に基づき面談資料(英文)を送付しました。
対話を行った14社の内訳は以下のとおりです。

国内外内訳
アクティブ、パッシブの割合

また、面談にご出席いただいた機関投資家の担当分野は以下の通りです。
●アナリスト ●ファンドマネージャー ●インベストメント・スチュワードシップ部門 
●責任投資運用部門 ●ESG推進部門等

(ii) 株主の関心事項

  1. (1)中期経営計画で掲げる財務目標の達成可能性について
  2. (2)自己株式取得についての今後の方針について
  3. (3)マテリアリティのKPIの設定について
  4. (4)人財およびダイバーシティに関する情報開示の充実について
  5. (5)人権デューデリジェンスの取り組みについて

(iii) 取締役会に対するフィードバックの実施状況

2023年5月に開催した取締役会において、総務部門から上記を含めた株主との対話の概要を報告するとともに、引き続き株主との建設的な対話に努める旨説明を行いました。加えて、対話のなかでいただいた一部のご意見については、経営企画部門を始めとする社内関連部門と共有し、統合報告書に取り込むなど、情報開示の充実を含めた対応の検討に着手しています。
今後も継続的な株主との対話を通じて、企業価値の向上に努めてまいります。

統合報告書の充実

統合報告書 JGC Report 2023

当社の統合報告書は、長期的なスタンスに立った投資判断を行ううえでの重要な開示資料として、毎年、記載内容の充実を図っています。2022年の統合報告書では、事前に株主・投資家の皆さまから様々なご意見をいただき、企画内容に反映しました。また、株式市場では「どのようにして『2040年ビジョン』、および『BSP2025』を実現するのか」という点について関心が高まっていたことから、創業以来、当社グループが拡大・成長するなかで当社グループの強みがどのように培われてきたのか、強みが戦略にどのように活かされ、また強化する必要があるかを表現しました。加えて、気候変動対応やサプライチェーンにおける人権対応などの非財務情報開示の拡充を行った結果、2022年度のGPIF(年金積立金管理運用独立行政法人)の国内株式運用機関が選ぶ「改善度の高い統合報告書」に選定されました。

ホームぺージの拡充

株主・投資家に対する情報開示の拡充を図るため、ホームぺージにおける開示情報の拡充に取り組みました。機能材製造事業に関する取り組み紹介やサステナビリティに関する取り組み紹介ページを新たに制作・改訂することで株主・投資家を中心とした幅広いステークホルダーの方々にご理解いただけるよう努めています。

社員とのエンゲージメント

トップマネジメントとの対話、社内報(年4回)など

当社グループでは、トップマネジメントと従業員との座談会を開催しており、本音の対話やビジョンの共有、つながりの強化を図っていることに加え、対話の様子を配信し「会社のさらなる活性化」につなげることを目的とした動画チャンネルを配信しているほか、社内報や全社掲示板など様々な媒体を活用し、会社の経営方針や経営課題を浸透させるとともに、グループ社員の帰属意識の向上につながるコミュニケーション活動を実施しています。

顧客とのエンゲージメント

資源国人財向け研修プログラム

研修の総括を発表するサウジアラビアからの研修生

当社グループは、資源国との関係強化を目的に、過去数十年にわたり、資源国の技術者や化学工学などを専攻する学生に対する各種研修プログラムを実施しています。プログラムを受講した多くの技術者が帰国後に自国の資源開発・産業発展に貢献しており、当該国におけるビジネスの拡大にもつながっています。
研修プログラムの内容は、派遣元各社・大学の意向や研修期間によって異なりますが、世界各国で豊富なプロジェクト遂行実績を有するエンジニアリング会社としての特長を活かし、プロジェクトの遂行管理や各種設計技術に関する実践的な講義やOJTが中心となっています。

サプライヤーとのエンゲージメント

技術支援活動

溶接工向けトレーニングの様子

当社グループは、プラント建設国における現地調達を積極的に推進しており、高難度の機器を発注するケースでは、当社グループのエンジニアが発注先工場に赴き、サプライヤーの製造設備や設計者の技量に応じた技術指導を実施しています。こうした取り組みにより実現されるサプライヤーとの良好な関係を貴重な取引先資産と捉え、サプライヤーに対する技術支援を積極的に行っています。

地域社会とのエンゲージメント

イラク・バスラ州における地元小学生を対象にした取り組み

JGC Code Education受講者の様子

イラクではイラク戦争後の国民の学力低下が顕著であり、若者の人口増加も相まって特にバスラ州では教育に対する投資が不足しています。また、若者の失業率も非常に高く、大学を卒業しても就職が難しい状況にあります。当社グループでは、子どもへの教育機会の提供、若者への雇用機会の創出をはじめとする同国のニーズに沿った長期的な貢献を目的に、バスラ州の公立小学校向けにプログラミング教育プロジェクト「JGC Code Education」を2022年3月から開始しました。今後2年間で約2万人の生徒へのプログラミング授業を実施し、将来的な同国のIT技術人財の育成や若者の雇用創出に貢献していきます。また、2022年6月5~6日にはバスラ州の公立小学校約20校の計2,600人を対象にサイエンス・ショーを開催しました。

次世代人財とのエンゲージメント

横浜市の公立高校の企業訪問の受け入れ

当社グループでは、横浜市の公立高校の企業訪問を受け入れており、社員との懇談会や業務のVR体験などを通じて、コミュニケーションを図っています。学生が望ましい職業観・勤労観を身につけるとともに、主体的に進路を選択する能力を育てることを支援しています。2022年度は、持続可能な航空燃料(SAF)の取り組みを紹介し、当社グループの持続可能な社会実現への取り組みに関する理解促進を図りました。

小学生を対象とした化学実験講座を実施

化学実験講座の様子

当社グループ会社である日揮触媒化成株式会社では、同社北九州事業所において、地元の小学生を対象とする化学実験講座を毎年開催しています。地域社会との交流・貢献を通じて、機能材製造メーカーとして子どもたちが化学への興味を深める機会を提供するとともに同社の事業活動の理解促進を図りました。今後も地域社会との良好なエンゲージメントを構築していきます。
その他当社グループの社会貢献活動についてもご覧ください。