超臨界水を利用した超重質油部分改質プロセス(SCWC)

共同研究先 JOGMEC

SCWC(Supercritical Water Cracking)は、比重が重く、粘度が高いオイルサンドや超重質油、高流動点原油など(以下「超重質油など」)を、水のみを用いた反応により常温でパイプライン輸送を容易にする技術です。市場へのアクセスに長距離のパイプラインが必要な超重質原油などを対象とし、坑井元で原油を直接改質するプロセス装置です。本技術はカナダで5BPDのパイロット装置による250時間の連続試験に成功し、プロセスとして信頼性を証明しました。また、次期のデモンストレーション規模(300-2,000BPD)、コマーシャル規模(30,000BPD以上)の設計を完了しました。本プロセスは、(独)石油天然ガス・金属鉱物資源機構(JOGMEC)と共同研究を行っています。

プロセスの概要

SCWCは、超臨界状態(臨界温度374℃以上、臨界圧力22.1MPa以上)の水(以下「超臨界水」)で超重質油などを熱分解し、パイプライン輸送可能な軽質油に改質する技術です。水のみを用いたシンプルな装置であり、水素や触媒は不要です。製品はすべて液体となり、固体の副生物は発生しません。

特徴

超臨界水には、熱分解に必要な熱の供給、改質油の抽出、コーキングの抑制という三つの役割(下図)があります。超臨界水はトルエンやヘキサンと同等の比誘電率を持つ溶媒としての特性があり、熱分解で生成した軽質油(改質油)を素早く効率的に抽出することで、過分解によるガスの発生を抑制、またアスファルテン同士の再重合によるコークスの生成を抑制します。

SCWCは、超臨界水の特徴を生かした部分改質プロセスです。改質油はパイプライン輸送できる品質となります。また改質油は、長期の貯蔵安定性があり、他原油との相溶性は良好、熱交換器でのファウリング(汚れ)を発生しないので、水素化処理は不要です。

副生するピッチは、加温によりバーナーのノズルで良好な噴霧が可能な粘度に下げられ、残油焚ボイラー燃料に適合します。また、道路アスファルトの針入度などに適合し、高付加価値製品としての利用も可能です。

SCWCは、コーカー装置と比べプラントの敷地面積が1/4程度、コークスなど固体廃棄物を発生しないので、環境へ与える負荷も小さいのが特徴です。

適用

  • 対象となる原油の種類は、カナダのオイルサンド、ベネズエラなどの超重質原油、東アフリカなどの高流動点原油などです。
  • 適用サイトは、希釈油の入手が困難な油田、または長距離パイプラインによる輸送が必要な油田における坑井元改質です。

開発状況

カナダ アルバータ州のパイロット装置

受賞

  • 石油学会技術進歩賞 (2016年度)